一ノ谷博士のIT四方山話

元パソコンサポーターです。IT関連のテーマを中心に書きます。

マイナンバーがやってくる。⑯

今回はマイナンバー制度が参考にしたというアメリカの番号制度(社会保障番号)の実態についてお話したいと思います。

アメリカの番号制度(社会保障番号)は1938年に始まり、9桁の番号で構成されています。

この制度が始まったころは、14歳前後までは社会保障番号を持つことはなかったのですが、1986年以降は、出生と同時に社会保障番号が割り当てられるようになりました。
アメリカの人たちは子どもの時から社会保障番号を利用しています。

病院にかかるときや、学校の学籍番号としても利用されています。
これは大人になっても同様で、銀行口座の開設や、クレジットカードの発行も社会保障番号を伝えるだけで本人確認が成立しています。
写真付きの身分証明書の提示が求められることはありません。

このために、なりすましによる被害が多数発生しています。
アメリカでは年間1700万人が社会保障番号を大きな原因とするなりすましの犯罪に巻き込まれているそうです。
その被害額はおよそ1兆8千億円に上るといわれています。

他人の社会保障番号を知った人がクレジットカードの申請をして利用し、該当する社会保障番号の持ち主はクレジット会社から請求が来て初めて盗難を知るというケースが後を絶ちません。

お金の被害以外にも、クレジットを乱用されたために、信用の格付けが下がってしまい、住宅ローンが組めなくなった事例もあります。

日本のマイナンバーはこのような使い方はできないことになっています。
しかし、アメリカの社会保障番号も元々は社会保障分野のための制度だったのですが利用目的が拡大されていったのです。

日本のマイナンバーも、その役割が順次拡大されていく予定です。

マイナンバーがやってくる。⑮

今回は個人番号カードで、公的個人認証サービスが使われることの危険性について書きたいと思います。


政府は、個人番号カードの民間利用を次のように想定しています。
・ショッピング、バンキング、証券取引のオンライン認証(2016年)
・キャッシュカード、クレジットカードなどとの一体化(2017年)
・興行チケットや携帯電話SIMカードの本人確認販売(2017年)
・健康保険の資格確認(2018年4月めど)
・おくすり手帳(2018年)
・各種資格証明:医師、教員、運転免許、学歴証明(2018年)
これらのすべてに前回の「マイナンバーがやってくる」で書いた公的個人認証サービスが使われています。

個人番号カードを使って、民間企業が提供するサービスを利用すると個人を識別する情報がその都度、民間企業に伝わります。
また、民間企業は伝えられた個人情報が有効であるか、これもその都度、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に確認の手続きを取ります。

こうして、個人番号カードの所有者(J-LISはもちろん誰であるか知っています)がいつ、どの民間企業のサービスを利用したかという情報が地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に蓄積していきます。

政府は民間利用をどんどん拡大していくつもりのようですので、ますます、多彩でたくさんの国民の行動履歴が蓄積されていくでしょう。

政府はこの大量のデータをどう利用しようと考えているのでしょうか。
政府に任せておいても大丈夫でしょうか。
国民にとって大変危険な事態が迫ってきていると考えられます。

マイナンバーがやってくる。⑭

今回は公的個人認証サービスについて解説します

公的個人認証サービスは住民基本台帳カード住基カード)に組み込まれる形で、2004年1月に始まりました。
しかし、利用範囲は行政サービスに限られていたので、利用範囲の開拓はあまり進みませんでした。個人向け用途では、国税電子申告・納税システムe-Tax) の確定申告用に使われただけでした。公的個人認証サービスに利用する電子証明書の発行は、2014年末時点で約288万件にすぎません。
 
今回、個人番号カード(マイナンバーカード)で利用できるようになる公的個人認証サービスには民間開放に合わせて、多彩な機能が追加されています。
 
氏名や住所などの身元を証明するネットワークを利用した身元確認から、ユーザー名/パスワードの組み合わせを使わずにコンピュータやインターネットを利用できるようにするログイン認証、住所変更の有無のチェック、年齢判定の機能まであります。
 
個人番号カードの保有者は、1台2000円ほどのカードリーダー端末を自分のPCにつなげるか、あるいは公的機関や民間企業の窓口に設置されたカードリーダー端末を通じて、これらの公的個人認証サービスを利用できます。
 
公的個人認証サービスは、オンラインで個人をほぼ一意に特定できる点で、極めて強力なものです。利用者にとっては、認証に使われる様々なもの、例えば印章や運転免許証、保険証などを持ち歩かずに済むようになります。
 
ただし、個人番号カード保有者にとっては、用途ごとに設定した4種類の暗証番号を使い分けられるか、個人番号カードを利用する際に「どのサービスを使っているか」を認識できるかなど、多目的カードならではの難しさに直面することになります。

マイナンバーがやってくる。⑬

マイナンバー制度の実施が本格化したことに伴い、個人番号カードを申し込んだ人あてに、交付通知書の配布が始まりました。


佐賀市では1月18日から配布が開始されたそうで、福岡市でも近いうちに配布が始まるものと思います。


マイナンバー通知カードについてきた個人番号カードの申し込み書を送る際に、電子証明書が必要かそうでないかの意思を表明する箇所を黒く塗りつぶさなかった人には電子証明書の機能がついた個人番号カードが配られます。


本来は、電子証明書の意味を理解して必要だと思う人に意思を表明する箇所を黒く塗りつぶさせるべきなのに、そうなっていないのは、電子証明書の利用者をあまねく増やしたいと思う政府の意思があります。


交付通知書を受けとった人は必要な書類を提示して、4種類の暗証番号を登録すれば、交付通知書に記載された場所で個人番号カードを受け取ることができるでしょう。
登録すべき暗証番号には4種類あるわけですが、順番に説明しましょう。


1、署名用の電子証明書用の暗証番号。英数字6文字以上16文字以下で設定できます。
英字は大文字のA~Zまで、数字は0~9までが利用できます。それぞれ1文字以上使う必要があります。
2、利用者証明用の電子証明書の暗証番号 数字4ケタです。
3、住民基本台帳事務用のアプリで使う暗証番号 数字4ケタです。
4、券面事項入力補助用のアプリで使う暗証番号 数字4ケタです。


この4ケタの暗証番号はすべて同じにすることが可能ですが、個人情報が誤って流出する恐れがあるので、暗証番号はそれぞれ別のものにするのが良いと思われます。

マイナンバーがやってくる。⑫

今回から、数回に分けて、個人番号カードについて解説したいと思います。


最初に、個人番号カードが使われる事例として、市町村が将来提供するサービスとして想定されている中から図書カードとして使われる場合をあげてみましょう。

まず、個人番号カードを図書カードして初めて使う場合には、図書館の受付で、個人番号カードを登録する必要があります。
登録には受付に用意されている機械に個人番号カードを差し込む必要があります。


次に画面の指示に従って暗証番号を入力します。
このあたりは機械は違いますが銀行のATMと同じような感じですね。
ここで入力する暗証番号は、個人番号カードを市役所の窓口で受け取った時に登録した6文字以上から16文字以下の英数字です。(暗証番号については次回以降詳しく解説します)

入力した暗証番号が正しいと判定された場合には、個人番号カードに保存された住所・氏名・性別・生年月日の4情報と、個人番号カードを識別するための番号が図書館のコンピュータに提示されます。
次に、図書館のコンピュータはこの情報が正しいかどうか確認するために地方公共団体情報システム機構に問い合わせます。

ここで正しい情報だと確認されれば図書館のコンピュータに登録され、個人番号カードが図書カードとして利用できるようになるでしょう。

次回以降、図書カードを利用する際には、6文字以上の英数字といった暗証番号を使う必要はなくなります。
やはり市役所で登録した4ケタの暗証番号を機械に入力するだけですむでしょう。

なお図書の貸出履歴は図書館のコンピュータにのみ記録されて、個人番号カードには記録されません。
したがって、個人番号カードを紛失しても図書の貸出履歴が漏れることはありません。

個人番号カードはおおむねこの様なやりかたで使われるようになるでしょう。

マイナンバーがやってくる。⑪


マイナンバー(個人番号)制度が1月4日から正式にスタートしました。


以下に列挙するような手続きを役所で行う際には、マイナンバーを書類に記入するよう要求されます。
なぜそのような面倒なことをする必要があるのか役所の担当者に聞いてみましょう。

マイナンバーは法に定めのない限り、教えてはいけないことになっていますし、聞いてもいけないことになっています。

説明に納得できた場合だけ、書類に記入しましょう。

個人番号の記入が必要になる手続きの例

社会保障
児童手当の新規認定請求
児童扶養手当の新規認定請求
特別児童扶養手当の申請
子ども・子育て支援新制度の認定申請
介護認定、更新、区分変更の申請
生活保護の申請
国民健康保険の加入・脱退
後期高齢者医療の被保険者証の再交付申請など。

『税』
固定資産税の減免申請
軽自動車税の減免申請など。

現時点では、通知カードを携帯しておらず、マイナンバー(個人番号)が分からない方の場合でも役所の窓口では受け付けているようです。

マイナンバーがやってくる。⑩

マイナンバー(個人番号)と個人の生活とのかかわりについての6回目です。


マイナンバー制度では一ノ谷博士(仮名)が死んだ後も、博士のマイナンバー(個人番号)は半永久的に残ることになります。
ただ、この際に疑問となるのが、死後のマイナポータルの扱いです。

一ノ谷博士(仮名)の個人番号が死後も使われ続けるのなら、それに関する情報をマイナポータルで見ることができるのでしょうか。

もしできるのならば、誰がどのようにして閲覧できるようにするのでしょうか。
見られないとすれば、一ノ谷博士(仮名)の死後、マイナンバー(個人番号)が適正に使用されていることを、誰がどのようにして保障するのでしょう。
こうした問題に関しては、まだ十分に議論されていません。

マイナポータルは、現時点では「本人」の閲覧しか想定しておらず、本人が死亡した後、あるいは何らかの理由で本人が閲覧不能になった場合について、十分に検討していないからです。

マイナポータルとは。
行政機関がマイナンバー(個人番号)の付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認できるほか、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報等を自宅のパソコン等から確認できる仕組みのことです。
この仕組みは平成29年1月1日から利用できるようになります。
その際には個人番号カードが必要になります。