一ノ谷博士のIT四方山話

元パソコンサポーターです。IT関連のテーマを中心に書きます。

ガス人間第一号

ガス人間第一号 1960年 東宝

 東宝特撮の変身人間路線第3弾にして連続銀行強盗物である。

世間一般の強盗と違うのは犯人が自分の体を自由にガス化できることである。
見ている限りでは鍵のかかっている金庫に自由に出入りできるわけではないようだ。
銀行の担当者が金庫を開けているときに後ろから襲い、殺した上で金を奪っている。

犯人はその金を日舞の家元に貢いでいる。
家元はその金を平気で使う。
どうやら田舎の土地を売った金だといわれていたらしい。
ある日、お札の番号から犯人を知っている疑いをかけられ、家元は逮捕されてしまう。ガス人間は家元を救い出しにくるのだが家元は逃げだそうとはしない。
 
物語は進み、ガス人間はマッドサイエンティストの犠牲者だったことがわかる。
同じ頃、家元は証拠不十分で釈放され、発表会が行われることになる。
ガス人間はおおかたの想像通り、家元の発表会で家元と一緒に死ぬ。
家元による無理心中だ。
家元は他に結論の出しようがなかったのだろう。
 
かわいそうな彼の魂魄はこの世に残り、マタンゴになったり、X星人の頭領になったりと波瀾万丈な人生を歩むことになる。

ストーリーはだいたいこの通りである。
 
 さて、どんな物であれ、ガスになるにはどうすればいいのであろうか。
物質を結びつけている力のうち、分子間力を弱める薬剤、もしくはエネルギーがあればガスになることはできるかもしれない。
普通の言葉で言えば燃やすのである。
 
しかし、元の姿に戻るのは不可能な気がする。
人は燃えればガスになり少しのかすが残るのみである。
このときに発生した物質を集めたからと言って元の姿に戻すのは不可能であろう。
 
熱力学第2法則によればエントロピーは自然に減ることはないので、元の姿に戻るためにはエントロピーの少ない大量のエネルギーを必要とするであろう。
ガスになった人の意志でもとの姿に戻るにはどのような方法が考えられるのであろうか。
 
私にはわからない。
 
さて、この映画で日舞の師匠役を演じた八千草薫さんが先日88歳で亡くなられた。
ご冥福をお祈りします。