一ノ谷博士のIT四方山話

元パソコンサポーターです。IT関連のテーマを中心に書きます。

マイナンバーがやってくる。⑨

マイナンバー(個人番号)と個人の生活とのかかわりについての5回目です。


年金暮らしを始めてから亡くなるまで

 一ノ谷博士(仮名)が勤務先を退職して年金暮らしを始めると、途端に個人番号の出番が増えることになります。

国民健康保険介護保険に加入する際にも、年金の裁定請求の際にも、いずれも個人番号の提示が必要です。

医療費の還付請求、住民税の減免請求、医療費控除のための確定申告に際しても、個人番号の提示が必要。

あるいは、博士が子供の被扶養者となったなら、子供の勤務先や税務署に博士の個人番号を提示することになります。

 一ノ谷博士(仮名)が亡くなると、家族が死亡届を提出することになるが、死亡届それ自体には個人番号を書く欄はありません。
埋火葬許可証にも個人番号は記載されません。

家族は遺産相続のために、博士が生まれてから死ぬまでの戸籍を全て取得する必要に迫られるが、この手続に個人番号は使えません。

土地や建物を相続したとしても、その手続にも個人番号は使えません。
ただし相続後の固定資産税納付に関しては、博士の個人番号と相続人の個人番号が必要になるでしょう。

 一方、一ノ谷博士(仮名)の最終住所地の市町村では、博士の個人番号を経由して、健康保険の停止、年金の停止などの各種措置がおこなわれます。
ただし、博士の支払った厚生保険料の一部は、博士の妻の年金計算に使われる可能性があります。
すなわち、博士の個人番号は死後も使われ続けることになります。

マイナンバーがやってくる。⑧

マイナンバーと個人の生活とのかかわりについての4回目です。

 一ノ谷博士(仮名)が結婚する際、婚姻届を提出することになりますが、婚姻届に個人番号を書く欄はありません。

結婚によって新しい戸籍が作られますが、戸籍電算システムは個人番号と連携していないからです。
ただし、博士が結婚相手を扶養するのなら、結婚相手(被扶養者)の個人番号を博士の勤務先や税務署に提示することになります。
あるいは子供が生まれたら、子供の個人番号をやはり勤務先や税務署に提示することになります。
しかし戸籍そのものには、個人番号は記載されません。

 一ノ谷博士(仮名)がマイホームを新築する場合、住宅ローンを組む際に個人番号の出番はありません。
土地や建物の登記にも、個人番号は使われません。
ただし固定資産税に関しては、個人番号が使われます。

 引っ越す際には、転出元と転入先の自治体間で個人番号のやり取りがおこなわれます。
具体的には、転入先の自治体で調製される住民基本台帳に、世帯全員の個人番号が移ります。
これと同時に、転入先の住民基本台帳システムでは、情報提供ネットワークシステムとのやり取りに必要な「符号」を、一ノ谷博士(仮名)の世帯全員の個人番号に関して、取得しなおすことになります。

一方、博士の本籍地の市区町村にも住所の変更が連絡され、「戸籍の附票」と呼ばれるものが調製されるが、この作業に個人番号は使われません。

マイナンバーがやってくる。⑦

マイナンバーと個人の生活とのかかわりについての3回目です。

 大学受験の際には、もちろん受験番号で管理されることになりますが、大学においても大学入試センターにおいても、受験番号と個人番号はリンクされません。
大学入学後は、学籍番号等で管理されることになりますが、個人番号は使用されません。

 一方、一ノ谷博士(仮名)がアルバイトをするのなら、アルバイト先に個人番号を提示する必要があります。

例えば、雑誌記事を書いて原稿料をもらうような場合には、その出版社に個人番号を提示する必要がありますし、ペンネームで書いても博士の個人番号を提示することになります。

すなわち、給料や報酬を受け取る際には、相手に個人番号を提示する必要があるということです。
したがって、就職する際には、就職先に個人番号を提示することになります。
成人した一ノ谷博士(仮名)は、タバコを購入するかもしれないが、TASPOと個人番号はリンクされません。

衆議院参議院の議員を選ぶ選挙や地方自治体の首長や議員を選ぶ選挙で投票に行く場合も、個人番号は使われません。

クレジットカードを作る場合も、個人番号とはリンクされません。
株取引をする場合には、取引口座を開設する際に証券会社に個人番号を提示する必要があります。

一般の銀行口座は2018年から任意で個人番号とリンクされるようになり、2020年からは個人番号と強制的にリンクされることになります。

マイナンバーがやってくる。⑥

マイナンバーと個人の生活とのかかわりについての2回目です。
 一ノ谷博士(仮名)を保育所に入れる際、博士の個人番号が必要になります。
一方、幼稚園に入れる際には個人番号は使われません。


小学校の就学通知書にも個人番号は使われず、小学校では出席番号や学籍番号で管理されます。
これは中学校でも同様です。

高校受験の際には、もちろん受験番号で管理されます。
すなわち、学校などでは個人番号は使われず、したがって学歴や成績と個人番号はリンクされません。

唯一の例外が奨学金の申請で、これに限っては個人番号を学校に提示することになるでしょう。

 一ノ谷博士(仮名)の銀行口座を開設する際にも、個人番号は使われません。法律の変更が議論されているようですのでこの辺りは変わるかもしれません。

生命保険に加入するかもしれませんが、そこでも個人番号は使われません。
パスポートを取得する際にも個人番号は使われないし、パスポート番号と個人番号はリンクされません。

運転免許証を取得する際にも、個人番号は使われないし、免許証番号と個人番号はリンクされません。
もちろん、交通違反の記録も個人番号とはリンクされません。

もし、裁判を受けるようなことになった場合にも、裁判所は個人番号を使わないので、裁判記録あるいは「前科」といったものも、個人番号とはリンクされません。

 

マイナンバーがやってくる。⑤

今回から数回に分けて、マイナンバーと個人の生活とのかかわりについて書いていきます。


お話は、一ノ谷博士(仮名)が生まれたときから始まります。

一ノ谷博士(仮名)の出生届が提出されると、戸籍への登載手続が始まると同時に、住民基本台帳への記載が行われます。

住民基本台帳への記載に際して住民票コードが割り振られ、それをもとに12桁の個人番号が決定されて、通知カードの形で一ノ谷博士(仮名)の家族に個人番号が通知されます。

すなわち誕生とほぼ同時に、一ノ谷博士(仮名)の「マイナンバーのある暮らし」が始まるわけですね。
 一ノ谷博士(仮名)の父親なり母親なり扶養者は、博士の個人番号を扶養者の勤務先や税務署に提示します。
扶養に関して、税金などの優遇を受けるためです。
扶養者の健康保険に加入させる場合も、同様に個人番号を提示することになります。

また、予防接種を受ける際には、保健所などで個人番号を提示することになるでしょう。

 一方、一ノ谷博士(仮名)が病院で診察を受けたとしても、病院では個人番号は使わず、健康保険証を提示するだけになります。
博士の病歴は各病院のカルテに記録されるが、個人番号とは直接リンクされません。

マイナンバーがやってくる。④

 


個人番号カード申請のなりすましに注意しよう。

 政府は個人番号カードを普及させるのに躍起になっている。
これは住基ネットカードが国民の5%程度しか普及できなかったトラウマを抱えているからだ。
そこで、とりあえず国家公務員などの身分証にすることが決定している。
総務省も、個人番号カードの普及策を打ち出した。
 
企業の従業員が勤務先がある市区町村で、自治体職員が本人確認して個人番号カードを申請できる「勤務地経由申請方式」や、申請時に住所地の市町村が指定する場所で厳格な本人確認ができれば、郵送で個人番号カードを受け取れる「申請時来庁方式」なども公表している。
 
 ただ、自治体関係者からは、個人番号カード申請者のなりすまし防止が必要という声も出ている。
通知カードは簡易書留で郵便局員が本人確認して渡す。その後に通知カードや個人番号カード交付申請書などを不正に入手した者がいれば、なりすまして個人番号カードを申請する恐れもある。なりすます者が本人と同性・同年代であれば充分可能だろう。
自治体関係者がなりすましの防止策が必要だと考えるのも無理はない。
 
 このようなことが現実になる恐れは十分あるので、通知カードを紛失したり、12月に入っても届かない場合は、なりすましによる個人番号カードが申請される恐れも疑って、自治体の窓口などに相談した方がいいだろう。
 
この記事は、他のブログで、2015年11月4日に書いたものである。4年余りを経過した今でも個人番号カード(マイナンバーカード)の普及率は14%程度である。5年前に交付された通知カードが今でも国民の手元にあることは期待できないので、再度送付されるかもしれない。
したがってなりすましによる問題は現在でも問題になると考える必要があるだろう。

 

マイナンバーがやってくる。③

今回は個人番号カード(マイナンバーカード)は何の役に立つのかというお話です。
 
個人番号カード(マイナンバーカード)では、表に(氏名・生年月日・性別・住所)と顔写真が記載されており、、12桁のマイナンバーは裏面に記載されています。
 
マイナンバーは、法律で定められた用途以外に使うことはできませんが、マイナンバーが書かれていない表の面だけなら運転免許証などと同じように、民間の業者がコピーをしても処罰されるようなことはありません。また、役所の窓口での手続きでは、個人番号カードの表の面を使った身元確認と、裏の面に書かれているマイナンバーを使った番号確認の両方が行われます。
 
さて、政府は、個人番号カードの民間利用を次のように想定しています。
・ショッピング、バンキング、証券取引のオンライン認証(2016年)
・キャッシュカード、クレジットカードなどとの一体化(2017年)
・興行チケットや携帯電話SIMカードの本人確認販売(2017年)
・健康保険の資格確認(2018年4月めど)
・おくすり手帳(2018年)
・各種資格証明:医師、教員、運転免許、学歴証明(2018年)
このようにして、個人番号カード(マイナンバーカード)の利便性を増やし、国民の間に普及させようとしています。
4・5年もたつと個人番号カード(マイナンバーカード)の携帯は義務化するかもしれませんね。
 
この記事は2015年、10月22日に書かれました。
20019年11月現在、マイナンバーカードの普及率は14%程度ということになっています。
SNS等で私が見聞きしたところでは普及しない理由はマイナンバーカードを所持しても何も便利なことはないと考えるからだそうです。
もちろん個人情報が国に勝手に把握されるのが嫌だという人もいます。