一ノ谷博士のIT四方山話

元パソコンサポーターです。IT関連のテーマを中心に書きます。

世界大戦争

 ここ数年の間、11月3日頃にはゴジラをはじめとする東宝特撮映画を見るようにしている。
知っている人も多いだろうが58年前、昭和29年の11月3日に「ゴジラ」が封切られた。
私は11月4日生まれなので、ゴジラより1日若いということになる。勝手にゴジラとは縁があると思いこむことにして、この日が近づくと東宝特撮映画を1本見ることにしている。

世界大戦争昭和36年公開。監督松林宗恵
主演はフランキー堺である。
テレビドラマ「私は貝になりたい」で戦犯として理不尽な運命に翻弄される小市民を演じて絶賛されている。

この映画にはゴジラをはじめとする怪獣は一匹も出てこない。
時代背景としてはこの映画が公開される前の年には日米安全保障条約をめぐって、国内世論が沸騰している。
また、ソビエト連邦領空内でアメリカのU2偵察機が撃墜される事件がおきている。
米ソ間で核戦争が起きても不思議ではないと誰もが考えていた冷戦さなかに作られた映画である。

この映画ではフランキー堺の一家を通じて庶民のささやかな幸せとそれを無惨に踏みにじる核戦争の恐怖を描いている。

第2次世界大戦が終わったあと、世界は安定を取り戻したように見えたが水面下では同盟国と連邦国の間では軍事的緊張が高まっていた。
同盟国と連邦国のどちらがアメリカでどちらがソ連だろうかと考えたのだがあまり意味はない。
どちらの国も積極的に核戦争をしたがっていたとは思えないのに、結局回避することができずに戦争が始まってしまう。
水爆を撃ち合う戦争の結果は悲惨である。
水爆の灼熱で溶解した国会議事堂が映るラストシーンを見ると生き残ったものがいるとは想像できない。
核戦争が起きたあとでも生き残った人間がいて、マシーンと戦うような映画を作るアメリカは考えが甘いと思う。
核戦争は街を破壊するだけではなく、環境を一変させてしまうのだからゴキならともかく人間が生存できるはずがない。
この映画は名作だと思うのだがそれを描く筆力がないのを残念に思う。